ジンジニアニッキ!

人事→Opsな人のニッキ。真面目なことも、そうじゃないこともごっちゃで書いてます。

Corporate Operationsという役割、あるいはCorporate Operations Managerという職種について

現職に入社してから「Corporate Operations」という役割、あるいは「Corporate Operations Manager*1」という職種を担当している。
ものすごく雑にいうと「なんでもやりますよ」ということではあるのだけど、単に便利になんでもやるというよりは、会社をあるいは管理部門(=コーポレート)をいい感じにするぞ!そのための役割だぞ!という気持ちで仕事をしている。
この役割に関しては、自分の過去の経験や考えの蓄積が集積されたものだと思っているのだけど、うまいこと言語化できてこなかった。

一つ前の記事にも書いたのだけど、今年に入ってから急激に人が増えてきていて、これまで自分の脳内で「こういうものだ」と思ってきたことを、他の人から見てもわかるように言語化する必要性が高まってきている。

ということで、自分が担当している領域がどういうもので、どういう新規性があり、会社にとってどういう貢献をしていくことを求められており、そしてキャリアの可能性がどう広がるのか、ということを頑張って社内向けに書いてみた。
それを外向けにも書いてみようというのがこの記事の趣旨であります。

1. 会社における管理部門の役割

管理部門とは、会社における経営管理・運用組織であり、経営の意思決定をいかに安全・迅速・安定的に実現・実行するかに責任を持っています。
これまで伝統的なコーポレート組織は、経理部、人事部、法務部…といった、それぞれの専門性を持つ組織として組成されてきました。

これらの伝統的な組織分担はSaaS型業務システムの登場&中小規模の企業での利用浸透&活用によって状況が変わったというのが自分の理解です。
SaaSの活用においては、システムを業務に合わせるのではなく、業務をシステムに合わせてフローを組み直す必要が出てきます。また、APIを利用して各システムを接続する必要も発生します。これによって、各専門性の中で業務最適化を行うのではなく、管理部門全体の業務最適化・効率化を行う必要が出てきました。

また、テクノロジー業界を筆頭とする成長産業・成長企業では組織や事業スケールの急速な変化、それに伴う(良い意味での)朝令暮改経営判断がなされ、その変化への対応を早期に実現すること求められます。
これまでの会社では管理部門業務のグランドデザインはいわゆる管理部長、あるいはCOO(Chief Operating Officer)が担っていました。しかし、管理業務を取り巻く環境の変化に対応し、デザインの精度・改善速度を上げるため、そのグランドデザインの役割を強化する必要があります。

そのニーズによって生まれた職種・役割が「Corporate Operations Manager」だという理解です。
この職種は外資系企業で求人募集されているのを見かけますが、求人の内容を見てみると「COOの意思決定を補助する/COOの意思決定を実現する」という内容の記述がしばしばなされています。

2. CorporateOperations/Corporate Operations Managerが果たす役割

※以下、Corporate Operationsという役割、Corporate Operations Managerという職種をまとめて「CorpOps」と記載します。
管理部門における各専門性(例:経理、人事、法務…など)に共通する体験を最大化する役割を果たします。

共通する体験とは大きく以下の3点があります。

これらの3つの体験の中には、単に「心地よい」という意味合いの体験だけではなく、メッセージの一貫性担保や説明責任、リスクの認識とコントロールも含まれます。
組織の状況やプロジェクトによっては、専門性領域を担う役割が不足しているケースもあります。その場合は、共通する体験から染み出して、専門領域も担当します。

図にするとこんな感じ。(めっちゃ雑いw

チームトポロジーで言うと、横に伸びる専門性の役割(経理、人事などなど)は「Stream-aligned team」のイメージです。
縦のCorpOpsはUnfix社のチームトポロジー記事における「Experience Crew」のイメージです。
unfix.work


ここでのポイントは、「CorpOpsは専門性を直接的に発揮するのではなく、間接的に発揮する役割であり、専門性を直接発揮するケースは組織の状況等による副次的なものであること」「幅広い専門性の全体最適を推進する役割を果たすこと」の2点です。

この考えに至るまでの自分のキャリアを振り返ってみると、管理部門職(当時は採用人事)に最初に職種チェンジ*2をしたときの理由は、「自分はものづくりをすることはできないけれど、ものづくりをしている人*3がいい感じで働けるような環境を作りたい、そうあるべきだ」という考えが元にありました。
今振り返ってみると、当時自分が考えていたことの延長線上にCorpOpsの整理があるということは我ながら興味深いです。

3. CorpOpsの登場によって専門職種(経理、人事等)はどう変わるのか

2の整理の通り、専門職種とCorpOpsは求められる役割が異なります。
専門職種はよりその専門性に根ざして顧客(=経営者/社員/社外のステークホルダー)への価値提供を行います。

これまでは専門職種の組織内で担当していた「体験」領域の一部をCorpOpsと協業して業務を行うことになります。

そのため、単に専門領域の知識があって業務を構築することができるというだけではなく、ある程度専門知識を持ったCorpOps以上に専門的な知識・思考を持ち、業務を遂行することが求められます。
※あくまで役割分担レベルの話であり、担当する人が必ずスーパーでないといけないという意味ではありません


管理部門組織における役割分担では、専門職種とCorpOpsが「専門性」「体験」の両方でフィードバックをかけながら、相互に牽制することで共に成長していきます。


…というのが理想論でして、現状の弊社内での役割分担においては比較的理想に近い形でうまく相互牽制が働いているのではないかと思います。
この役割分担の構造は、下手をすると対立構造を生みやすいです。一般論として「ある程度専門性のことや横の業務との関連性が分かっているからこそ一歩踏み込むCorpOps vs 自分の専門領域を侵食されたくない専門職種」といった構造になることは容易に想像できます。
相手の専門性や担当領域に敬意を持って接すること、専門的な知識・経験・研鑽を怠らないこと、相手の指摘に対して素直に受け取ることができるための心理的安全性の構築の3点におけるどれひとつが欠けていてもバランスが崩れるだろうなと、今でも思います。
チームマネジメント、頑張っていこう…!

4. CorpOpsのキャリア方向性

このように、専門性を保ちながら体験の最大化を行うことができるCorpOpsは市場価値の高いキャリアを形成することができます。

例えば

  • スタートアップの管理部門立ち上げ初期メンバー
  • 管理部門全体を統括する責任者
  • 会社によってはCOO
    • Chief Operating Officer/会社によっては経営全体のOperationを指すことがあるので
  • 幅広い視野を持った専門職種
    • CorpOpsから専門職種へコンバートするケース

複数の専門性を持つ人材のことを「H型人材」と一般的に呼びますが、これまでこのような人材は「ゼネラリスト」「幅広く活躍できる便利人材」として社内で活用されることが多かったように思います。
自分自身もまさにそうで、専門性の弱さ、「やることはなんでも良い」という考えや表現が受け入れられないこと、器用貧乏で大体なんでもできることで良くも悪くも会社に良いように使われてしまう、といったことに悩んだりしてきました。

そんな悩みがまだ解決していなかった5年前のブログ記事を見ると、モヤモヤしつつも「この方向でやっていくぞ」というのがちょっと垣間見えて、当時の自分は頑張っておったな、という気もします。
mameco0417.hatenablog.com


今回、こうやってCorpOpsについて言語化できたことによって、自分のこれまでのモヤモヤも割とスッキリしました。
ゼネラリストとしてこれまで取り扱われてきたり、良くも悪くも幅広い領域を担当してきた人材にスペシャリストとしての道を自信を持って示すことができる点も、自分としては非常に良かったなと思います。
自分のキャリアを振り返ってみると、かなり幅広い職域*4を担当してきていますが、じゃあそれを深掘りしていきたいのかと言われるとしっくりこなかったし、しっくりこないからといってそれが嫌なのかと言われると別に嫌でもないと思ってきました。
「必要だったらやるし、それが会社にとって重要なことなのであればやるのが仕事でしょう。苦手な領域はあるしやりたくないことはあるけど、管理部門の領域であれば、未経験でもキャッチアップしますよ、それが仕事だから。自分は『この領域がやりたい』という希望は特にないけど、みんなが楽しくて会社がいい感じだったら、それが一番良いよ。」というのがこれまで長らく思ってきたことでした。
この表現や表現は、人によっては受動的でやる気や自発性に欠けると言われることもあり、「いや、そういうことじゃないんだよな」ということをようやく説明できるようになったなと思っています。



5. 【最重要なお知らせ】そんな感じで、ポジション募集してるよ!!

そんな感じで、CorpOpsポジションを募集しています。
open.talentio.com

法務という専門性を持ちながら、共通する体験を最大化するのがミッションです。
先ほども記述しましたが、専門領域×幅広い領域の担当の掛け合わせによって、少なくとも現時点においてはかなり強い管理部門組織が構築できていると思いますし、同種の組織構成は同じ規模感・フェーズの他社における事例もあまりない、ユニークな構成なのかなと思っています。

チョイっとでも気になる方、twitterのDMでもメールでも正面突破で応募でもなんでも良いので、ぜひご連絡とご応募お待ちしております〜〜。


※追記:スペル間違えてたのでしれっと修正しました。めっちゃ恥ずかし〜〜>< ブコメでご指摘いただいた方、ありがとうございました!

*1:ここでいう「Manager」は「何とかする/マネージする人」という意味合いで、CSM(Customer Success Manager)、PdM(Product Manager)、PjM(Project Manager)における「Manager」と同義。組織内における役割・役職のマネージャーとは異なる。

*2:人材の営業職→採用人事へのキャリアチェンジが最初の転職でした。

*3:ここではソフトウェアエンジニア、デザイナー、クリエイターのことを指している

*4:管理部門においては、経理・会計分野以外は大体全部やったことがある